奈良時代の僧、行基菩薩(西暦668~749)によって開山された、浄土宗『布施山 浄願寺』は、昔から修験道の聖地として知られる葛城山の麓にあり、一千二百有余年の長い歴史と共に「子宝に霊験あらたか」な古寺、通称「子授け寺」としてその名を全国に知られている。
その昔、子宝に恵まれなかった文徳天皇(西暦851~859)が当寺を訪れて祈願したところ、めでたく世継(清和天皇)に恵まれたと伝えられるところから、文徳天皇ゆかりの『子授け寺』として今日に受け継がれ、御本尊の阿弥陀如来も上記のような由来から別名『子宝如来』とも呼ばれている。
金剛山の北部に連なる葛城山の麓、のどかな大和盆地を見晴らす高台に『布施山 浄願寺』があります。
高い石垣と白壁をめぐらした静寂な佇まいの山門、石段を駆け上がった境内の正面には人の背丈よりやや大きい「子授け地蔵尊」が立っています。稚児たちが慈母にすがりついている慈悲の像ですが、祈願ののちに子宝に恵まれたという朗報が相次いで届くにつれて、当寺の檀家の人たちが感謝の気持ちを込めて建立、寄進したものです。掌を合わせて静かに目を閉じると心身共に清められた気持ちになりますから不思議です。
「子宝に霊験あらたか」な寺として、一千二百有余年の長い歴史を超えて、現在も「御本尊の前で祈願すると子宝に恵まれる」と言い伝えられており、文徳天皇にあやかりたいとの願いを胸に全国各地、中には海外から子授け祈願に訪れる夫婦のあとが絶えません。
御本尊の前で祈願を受ける夫婦は年間千数百組。祈願の後に妊娠される方は大変多く、喜びを綴った礼状がほぼ毎日、多い日には数通にも及びます。中には結婚後十五年、二十年目に、また四十代で初産というケースもあります。祈るだけで子供ができるということは、今の医学では考えられないことですが、当寺を訪れた医者によれば、「妊娠は神経系、ホルモン系のデリケートな連動によって初めて可能になり、もし感情が乱れたり、ストレスを受けているとホルモン活動の連携が狂ってしまい妊娠しにくくなることがある」そうです。
仏教は心の病を救ってくれる心の拠り所。祈願をすることでストレスを取り除くことができるとすれば、子供ができるのも不思議なことではありません。
一度、無の境地になって、気持ちを楽にして自ら鎖を解いてみる…
ストレス社会に暮らす私達にとって、そんな時間を持つことも大事なことではないでしょうか。